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株式会社クリエイティブ・ジョーズ
取締役 プロデューサー 清水邦孝氏
長寿の人気番組「探偵ナイトスクープ」(朝日放送)をはじめ、多くの人気番組を世に打ち出している株式会社クリエイティブ・ジョーズ様(以下、クリエイティブ・ジョーズ様)は、主に関西を拠点に活動を展開する制作プロダクションです。
クリエイティブ・ジョーズ様ではここ数年、社内にHDにも対応した編集室を構築することを検討していたのですが、じっくりと腰を据えて多くの編集システムを検討した結果、HDWS-3000を導入することに決めました。テレビ番組制作の最前線で活躍する制作会社が求めていたシステムとはどういったものだったのか、また、今後の映像業界はどのように移り変わっていくのかなどについて、取締役・プロデューサー清水邦孝氏にお話をお聞きしてみました。

【数社の製品を十分に比較した上で、HDWS-3000を選択】

クリエイティブ・ジョーズ様では、HD対応の編集室を構築するという希望を実現するために、かなり長い間、機器の選定に時間をかけたといいます。それは、同社の制作態勢に最もマッチした機器を選ばなくてはならないという必要性があったからだそうです。まずはそのあたりからお聞きしてみましょう。

− まずは、HDWS-3000を導入された経緯について、教えていただけますか?

HDWS-3000で編集中
 
真剣な表情で確認中
数年前から、ノンリニアでのHD編集室を新たに作りたいという希望を 持っていました。うちでは老舗メーカーさんのノンリニア編集機をメインにして、ベータカムやDVCPROのリニア編集機を仮編集用に使っていたのですが、それを段階的に入れ替えて、すべてHDのノンリニアにしようと考えていたのです。どこの製品にしようかをずっと検討して、実際、2年以上に亘って色々なメーカーの製品を触りながら、僕らが求めているものに対応できる機種を探していました。 そうした中で、HDWS-3000や編集ソフトウェアのEDIUSが非常によいという情報を同業者から入手し、すぐに触らせていただいたのです。その結果、うちの制作態勢に合っているという手応えを感じまして、導入の話を進めさせていただいたわけです。

− 制作態勢に合っているとのことなのですが、具体的にはどういった部分がマッチしていたのでしょうか?

当社では、ほぼ全員がディレクターで編集専門のエディターはいないのです。つまり、ディレクターたちは自分で撮ってきた映像を自分自身で仮編集しているわけです。しかし、ディレクターの中には編集機についてとてもよくわかっている人間もいれば、切って繋いでレベルの人間もいるのです。レベルがバラバラの人間全員が使える編集機や編集ソフトが求められていました。特にその点で、編集ソフトウェアのEDIUSは他社製の編集ソフトウェアと比べ非常に分かりやすく、使いやすかったのです。

− ご導入されてみて、ディレクターの方々からはご好評をいただいているのでしょうか?

HDWS-3000に関してましは、今ではもう取り合いになるくらいの状況です。まずはHDWS-3000で編集をしたいというくらい全員が慣れ親しんでいます。皆、「わかりやすい、編集しやすい」と言っていますね。うちの場合には、コーナーVTRですとか凝ったエフェクトの必要のない完パケ番組ですとかは、スーパー入れまで社内でやってしまうのです。HDWS-3000であればそうしたところまで難なくできますから非常に重宝しています。

− これまで他社製品も使われてきたとのことですが、比較してみていかがですか?

最初に導入を検討したシステムは、実は、HDWS-3000ではなかったのですよ。当初予定していた編集システムは、それだけで、かなり凝った編集が可能でお買い得だと思ったのですが、以前導入していた老舗メーカーのノンリニア編集機と使い勝手が大きく異なり、当社のディレクターには取っつきにくかったんですね。

− 様々なレベルのディレクターさん全員が使える機器という条件には、当てはまらなかったわけですね。

そうですね。あと、もう1社、今まで使っていた老舗メーカーのシステムも検討してみました。そのシステムは1つの完成された形を持っていると思いましたが、レンダリングのスピードや複数レイヤーを重ねていったときのリアルタイム性能に不満を感じました。そうしたときにHDWS-3000とかEDIUSの情報が入ってきたのです。それで、実際に触ってみましたところ、EDIUSは素晴らしかったです。第一に操作性が抜群に良く、非常に分かりやすいソフトウェアで、うちの制作体制に最適と感じました。また、リアルタイム性能に関しても満足のいくものでした。レンダリングの待ち時間の短縮は、そのまま作業効率のアップに繋がるわけですから。それで、EDIUSを搭載しているHDWS-3000導入の話が一気に話が進んでいったのです。

【編集のほぼ全ての工程がリアルタイムで見られることが大きな魅力】

あらゆるレベルのディレクターが無理なく利用できるということで、高い評価を得ているHDWS-3000、そしてそのフロントエンドであるEDIUSですが、具体的にはどのようなところにメリットを感じられているのでしょうか。

− 現在、クリエイティブ・ジョーズさんが扱われている作品は、主にはどのような形で放送局に納品されるのですか?

このオフィスから斬新な企画が生まれる
コーナー完パケはベータカムでの納品がほとんどですが、番組完パケは、レギュラーも特番もHDCAMでの納品が増えています。コーナー完パケはHDWS-3000で仮編集からスーパー入れまで行っています。番組完パケは仮編集までを社内で行って、スーパー入れはポスプロのリニア編集室で行うことが多いですね。MA (Multitrack Audio)は、ほぼ外注しています。

− 撮影機材はどのようなタイプのものを使われているのでしょうか?

うちではベータカム、DVCPRO、DVCPRO HD、HDCAMなどといった色々なカメラを使っています。その使い分けは番組に応じてということが基本ですが、ベータカムで取材すべきところをHDCAMでとりあえず撮っておいて、サイドカットでSDに落としながら編集するといったこともやっています。ですのでSDかHDかはあまり関係ないですね。

− HDWS-3000でのHD編集について、作業効率面ではいかがですか?

作業効率は確実に上がっています。以前とはだいぶ違うのではないでしょうか。HDだから時間がかかるということは、それほど感じていません。それどころか、今まで使っていたノンリニアですと、編集が終わったあとに1時間必要だったところが、10分とか15分ですむようになったことは非常にありがたいです。ただその分、ディレクターが長時間凝るようになってしまいましたけどね。

− 思いがけずよかった、といった点はありますか?

実は、これはHDWS-3000ではなくて、ソフトウェア単体で購入しているEDIUSについてのことなのですが、それを普通の性能・機能のPCにインストールしてテロップを作成するためのサポート用の機材としてワンセット組んだのです。そうしたところ、そのPCでSDがサクサクと編集できてしまったのです。これは嬉しい誤算でした。

− なるほど。具体的にはどのような使い方をされているのですか?

HDWS-3000本体はラックに収納
 
某芸能人のシーンを編集中
HDWS-3000で素材を取り込んで、それをUSBのハードディスクに移してEDIUSを導入したPCに持っていき、仮編集をするといった流れです。そこではテロップまで入れてしまう場合もあります。それで、最終的なレベルチェックやテープ落としなどはHDWS-3000の方に戻して行うという形ですね。HDWS-3000の2部屋にプラスして、実質上もう一つ、編集室ができてしまったという感じです。これはもう、実に嬉しい誤算でした。

− EDIUSの機能面について、率直なご評価をいただけますか?

なんといっても、リアルタイムで作業できる幅が非常に広いということがとても大きな魅力ですね。最終的にテープではき出すときには、一度レンダリングをする必要がありますけど、編集をしている間はほとんどの状況がリアルタイムで見られますので、これはもうビックリですよね。うちの場合、たとえばクイズ番組などでは、色々な素材を5レイヤーも6レイヤーも重ねた編集をしなくてはならない場合があるのですが、このような編集では、今までは編集をしているよりもレンダリングをしている時間の方が長かったのですね。それがHDWS-3000とEDIUSの導入により、ほぼリアルタイムで行えるわけです。おかげで、ディレクターの負担がすごく減少したと感じますね。

【将来的にはサーバーシステムの構築を検討】

テレビ番組制作の最前線にいるクリエイティブ・ジョーズでは、業界の今後の動向やそれに即した将来の制作体制についても、色々と考えていらっしゃるようです。今後望まれるシステムとはどういったものなのかなどについて、色々とお話しいただきました。

− HD化に対しては、どのようなお考えをお持ちでしょうか?

うちの会社には、新しい技術にいち早く慣れて、いち早く対応できるような体制を構築する、という方針があります。当然その中には、HD化も入っていました。HD化の波というのは確実に来ていると思いますし、2011年までには確実にHDにしなければなりません。その状況を考えますと、今からSDの機材に資本投資をしても、それは死に金になってしまいます。仮に少々コストがかかっても、HDにしていった方がよいだろうということは、ここ数年間ずっと考えてきていました。

− リニアとノンリニアでは、いかがですか?

HD化をリニアでやろうとすると、あまりにもコストがかかりすぎてしまいます。そのため、うちではノンリニアという方向を立てたわけですが、その次の問題は、最低でも従来システムと同等レベルの操作性がないと意味がありません。HDになったからストレスが溜まるのは、どうしてもっても避けたかったところです。つまり、機材の技術やクオリティが僕らのやりたいところまで追いついてきてくれるのを待っていたわけです。そうしたときにHDWS-3000やEDIUSが出てきてくれて、実際に試してみたところ、予想以上に軽快に作業ができたわけです。ノンリニアでのHD化、という選択でよかったと思いますね。

− HD編集室を整えた今、今後の展望についてはどのようにお考えですか?

徐々にリニアの機材は使わなくなっていくでしょう。そうした中で、将来的にはサーバーシステムを導入して、各編集室をうまくリンクさせ無駄のない作業ができるようにしたいですね。理想としては、1つのサーバーシステムを社内に置いて、そこに各編集機がぶら下がって、それぞれの部屋で編集ができるという状況を作りたいです。ただ、今のところはまだ、会社の中で万が一のトラブルに対処できるだけの態勢が整え切れていないのです。サーバーがダウンしたときにどうするのか、とかの明確な答えが、まだ出ていないのですよ。そのあたりの考えが整理できましたら、またカノープスには相談に乗っていただきたいと思っているところです。

− K2 EDIUS Shareというサーバーシステムについては、ご存じですか?

もちろん、知っています。もうすでに、実際に触らせていただいていますよ。先ほども言いましたがもう少し整理できたら、K2 EDIUS Shareによるサーバーシステムは検討したいですね。

− 最後に、HDへの移行を視野に入れている各地のテレビ局さんやポスプロさんに対して、先行してHDの編集システムを入れられたお立場から、メッセージなどいただけますか?

EDIUSを使ってみての最大の驚きは、SDとHDが同じ感覚で編集できることでした。これまでHDというと、確かに画質は綺麗でいつかは導入しなければならないとは分かっていながらも、レンダリングが必要だとか価格的に高く付くだとかデメリットばかり強調されていた感がありますよね。ところが、HDWS-3000を検討していったときにわかったのは、SDと同じ、あるいはそれ以上に快適な編集スピードが得られるということと、費用面でもSDを入れてもHDを入れてもコスト的にほとんど変わらないということでした。これが実感として得られたことは大きかったですね。うちの業務状況でいいますと、今では、番組をSDで受けてもHDで受けてもコスト的にはほとんど変わらなくなってきています。操作性や価格面でHD化を迷っているのであれば、まずはカノープスに相談ですね。実際にHDWS-3000やEDIUSを触ってみると、HD化のタイミングは、今、だと感じると思いますよ。

− コストもスピードも機能も、SDだから、HDだからといった差はなくなってきていますね。

SDとHDの差ですが、今、家庭用のテレビが綺麗な地デジ対応のものにどんどん変わってきています。実際に一度HDの画を見てしまうと、SDの画は見劣りしますよね。それと同じで、せっかくHDで撮っているのに、納品がSDではいやだなぁって思う機会が増えてきています。HDはすでに納得がいくレベルになっていると思います。

施工:日豊株式会社

株式会社クリエイティブ・ジョーズ
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大阪市にあるテレビ番組の制作プロダクション。探偵ナイトスクープをはじめ、バラエティやクイズ番組などを幅広く手がけている。