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「韓流(はんりゅう)」が日本でブレークし、数多くの韓国ドラマが日本のお茶の間を賑わしてきました。その潮流を生み出したのが、株式会社コリア・エンターテインメント様(以下、コリア・エンターテイメント様)です。
コリア・エンターテイメント様では、株式会社カンバス様(以下、カンバス様)開発による字幕作成専用ソフトウェア「SST」と、またトムソン・カノープスの編集ソフトウェア「EDIUS」を搭載した編集システム「HDWS-1100」と出会ったことで業務を急成長させてきました。その舞台裏について、コリア・エンターテイメント様の代表取締役、河 賢一(ハ・ヒョニル)氏とカンバス様の営業部部長、前川 幸裕(まえがわ・ゆきひろ)氏に伺ってみました。
 
株式会社コリア・エンターテインメント
代表取締役 河 賢一氏
株式会社カンバス
営業部部長 前川 幸裕氏

【字幕データ作成作業の効率化のためにトムソン・カノープス製品を導入】

字幕付きの映像は古くからありますが、今では、パソコンベースで字幕作成は行われています。実際に字幕作成を担当するコリア・エンターテイメント様と、字幕作成ソフトウェアの開発元であるカンバス様に字幕作成のフローなどを伺ってみました。

− はじめに、コリア・エンターテインメント様、カンバス様の主な業務をお教えいただけますか?

コリア・エンターテイメント社エントランス
日本でも有名なY様のポスターが出迎えてくれる
 
河氏が実際にSSTを使って、字幕を作成中
 
SSTのインターフェース
河氏:コリア・エンターテインメント社は、まだ設立8年の若い会社で、韓国のテレビドラマを輸入してセリフなどを翻訳し日本語字幕を映像に付けてテレビ局などに納品しています。現在、BS系放送局及びローカル局で放映される韓国ドラマの半分ぐらいはうちから納品しています。
前川氏:弊社の主業務は、「SST」という字幕制作専用ソフトウェアの開発・販売です。弊社も設立から10年ほどでして、コリア・エンターテインメントさんとは長いお付き合いです。

− SSTというソフトウェアのシェアは、どのくらいなのですか?

前川氏:翻訳業務で考えるなら、9割を超えていると思います。
河氏:字幕翻訳者さんを募集するときには、「SSTはお持ちですか?」と確認します。実際のところ、SSTがなかったら字幕作成業務は成り立たないといってよいでしょう。

− SSTの優れている点は、どのあたりですか?

河氏:普通のパソコンで使えるというところです。翻訳者さんたちが持っている普通のパソコンにSSTを入れるだけで、字幕データが作れてしまうというのが本当に素晴らしいです。それも、映像を見ながら字幕翻訳ができるのです。縦書きやルビ振りなども含め、字幕に関することが高度なレベルでできるソフトウェアはSST以外にはないのです。

− 字幕を作成するという仕事の流れを詳しく教えていただけますか?

河氏:まず、韓国から送られてきた映像素材をEDIUSでキャプチャし、映像データにします。次に翻訳担当者がその映像データを見ながらセリフなどを日本語に訳して文字を入力します。このときに、その文字をいつ出していつ消すのかというタイミングの指定も入力します。ここまでの作業のことを、「字幕翻訳」と呼んでいます。
翻訳担当者からうちに字幕翻訳を終えたデータが戻ってきたら、EDIUS上で元の映像と合体させます。しかし、放送局に納めるためには、CMやエンドロールなどのスーパーの挿入など、最終的な編集をした上で、映像をテープに戻さなくてはなりません。そうした最終的な編集をEDIUS搭載のHDWS-1100で行って、放送用のテープに戻して納品となります。

− カンバス様の「SST」が受け持つのは、どの部分になるのですか?

前川氏:字幕翻訳の部分をSSTが担当します。翻訳者のパソコンにインストールされているSSTを使って映像を見ながら「このタイミングでこの文字を入れる」というデータを作っていきます。

− 字幕作成の流れとSSTの役割は理解できました。では、EDIUSやHDWS-1100導入の経緯はどういったものだったのでしょうか?

河氏:先ほど申し上げましたように字幕データの作成はSSTが対応しますが、SSTはレコーダー機器ではありませんので、テープ自体の編集はできません。テープに字幕を乗せる部分や放送局のフォーマットに合わせるための最終的なカット編集などは外注でした。しかし外注ではコストや時間がかかるため、全ての工程を社内で完結したいという希望を持っていたのです。
とはいえ、設立当初の我が社では高価なリニア機器の購入は無理でした。そこで割合安価なノンリニア編集システムを色々リサーチし、DVStormというボードと付属の編集ソフトウェアのStormEditと組み合わせて、送られてきたテープの取り込みと最終編集の前のオフライン編集用として使いだしたのが最初です。それがEDIUSとHDWS-1100というシステムへと発展して、今ではすべてを社内でこなせるようになりました。

【すべてを社内でこなせるシステムを構築し、圧倒的な工数&コスト削減を実現】

韓流ドラマの人気に伴い仕事が急速に増えてきたコリア・エンターテインメント様では、業務をさらにスムーズにしつつ経費を削減していくために全作業を自社内で完結する体制の構築を考えられたそうです。

− 外注から内製への切り替えの経緯を教えてください。

河氏:字幕作成には修正や変更は付きものです。かつての制作体制では、修正作業は外の業者さんに何度もお願いしなくてはなりませんでした。時間もかかりますし、スタジオ代も膨大なものになります。韓流ブームにより仕事が非常に増えてきたころから作業工数やコストを減らすことは切実なテーマでした。

− すべてを自社内で行えるようにしていった経緯について、もう少し詳しく教えてください。

素材の取り込み用としてADVC-1000も活躍

河氏:字幕はSSTでデータとして作りますが、字幕データと映像との合体は外の業者さんにお願いしていました。業者さんでやってもらったものを再度自分たちでStormEditを使ってオフライン編集をしたあと、今度は別のスタジオに行って、放送局に納められる形に仕上げるためのカット編集やスーパー入れなどの最終編集、および、DVカムへの戻しをしていました。手間はかかりましたが、当時はコスト的にはそれが一番よかったのです。
その後EDIUSの登場により、字幕データと映像の合体部分は外注でしたが、放送局向けの最終編集の部分が、EDIUSを使って社内でできるようになったのです。

− EDIUSの登場により編集スタジオのコストが削減されるようになったのですね。

河氏:そうです。しかし、その時点ではまだ、作業の効率ということからすると、どうしても解決したい大きな問題がありました。

− といいますと?

河氏:EDIUSがSSTに完全対応するまでは、SSTで作成した字幕データと元の映像を合体するには、「ここからここまでにこの字幕を入れて」といった、細かな編集ポイントの指定をひたすら行う地道な作業が必要だったのです。そこで、前川さんに「SSTで作成したデータをそのまま、EDIUSで取り込めるようにして欲しい」とお願いしていたのです。
前川氏:コリア・エンターテインメントさんが望まれるシステムは弊社だけでは解決できない問題でしたので、トムソン・カノープスに相談させていただきました。そうしましたところ、すぐに協力に応じていただき、ベータ版ですがSST-EDIUSの連携ツールが試供されたのです。開発が国内で行われているというのはやはりフットワークが軽いですよね。トムソン・カノープスやEDIUSの強みでもあると思います。

− SSTで作成したデータをEDIUSで取り込むとのことですが、それは具体的にはどういう感じになるのですか?

河氏:SSTで作成した文字情報と、その文字をどのタイミングで出して、消すかという情報がそのまま、EDIUSのタイムライン上に貼り付けることができます。以前は一つひとつ手動で入力していくしかなかったのですけど、今ではボタン一つで、EDIUSのタイムライン上に字幕が「ダダダーっ!」と挿入できてしまいます。作業工数が圧倒的に短縮され、これはもう、我が社にとっては画期的なことでした。

− 両社のタイアップの結果、スピーディな内製システムが構築されたわけですね。

前川氏:そうです。
河氏:しかし次に新たな問題が出てきました。それは、映像がSDからHDへと変わってきたということです。現在、韓国のドラマ制作はほぼ100% HDです。素材もHDで送られて来るようになってきました。また納品もBS局などにはHDで納めなければならなくなりました。うちとしましては、新たなワークフローの構築が必要になってしまったわけです。

− HDになったことで、またもう一度、外部のスタジオでの作業が発生するようになってしまったというわけですか?

レコーダーその他の機材も含めた
編集システムのフルセット

河氏:そうなのです。もちろんHDの編集自体はEDIUSでスムーズに行えますが、納品用のHDカムへの吐き出しはDVStormでは未対応でした。また、別途HD-VTRの購入も必要でしたので、あらためてコストの再検討に迫られたのです。
そうしたときに、HDWSシリーズが登場してきたのですが、最初のHDWS-1000はうちのちょっと特殊な業務体系の問題から導入は見送りました。トムソン・カノープスのことですから、次バージョンはもっと素晴らしいのを出してくることだろうと、虎視眈々と待っていたわけです。その後HDWS-1100が出るということで、色々と調べてみますと、SSTから書き出したデータをそのまま、EDIUSのタイムライン上に貼り付けるオプションも正式に発売するということで、「これはもう、買いだ!」と。HDWS-1100の選択には、全く迷いはありませんでした。

− 正式な導入は、いつですか?

河氏:2007年の秋です。導入した翌々日にはもう、放送局に納品していました。実際に使ってみて、非常によいので、HDでの納品もどんどん増えていき、今では2台のHDWS-1100がフル稼働状態ですね。

【HDWS-1100はSSTとベストマッチング 〜 類い希なる安定性こそが最大の魅力】

コリア・エンターテインメント様では、SSTとベストマッチングなシステムとして、EDIUS&HDWS-1100を選択されました。そこにたどり着くまでには、定評を得ているほとんどの編集システムについて入念な検討を重ねられたのだそうです。

− 話は戻りますが、ノンリニア編集システムの導入に際し、他社製品との比較検討はされましたか?

河氏:弊社にとっての重要項目は、『字幕制作とスムーズに連動できるシステムなのか?/コストパフォーマンスは優れているか?/安定したシステムか?』ということでした。私をはじめ、編集作業に携わるスタッフ全員で、様々なノンリニア編集システムを試しに試してみた結果、私達の要求や希望を満足させるシステムはトムソン・カノープス以外には存在しませんでした。まさに「トムソン・カノープスの圧勝」だったのです。

− 新システムの導入による効率アップを数値化することはできますか?

HDWS-1100の操作台
画面左下に2台のHDWS-1100が見える
河氏:数値化は難しいですが、以前とは比べようもないです。字幕データは一瞬でEDIUSのタイムラインに貼り付け可能ですし、仮に修正が発生しても、その部分だけインサート編集すればよいです。大幅な効率アップが実現できています。

− 編集機としてのHDWSの魅力は、どのあたりに感じますか?

河氏:「落ちない」につきますね。HDWSは導入以来、一度も落ちたことがありません。
翻訳は時間をかけてじっくりやりたい作業のため、その後の編集作業にはどうしても時間的なしわ寄せがきます。編集は納品間際のぎりぎりのところでやっています。「吐き出しに1時間かかかる」といったら、きっかり1時間しか時間をとっていないのですよ。このような使用状況では「ネームバリューは高くても、頻繁に落ちるようなシステム」は論外です。その点、HDWSの安定性は本当に素晴らしいと感じますね。非常に満足しています。

− システムに対する満足度はとても高いようですが、要望などはありますか?

河氏:満足しているのは事実ですが、実は要望があります。色々とノンリニアシステムを触ってEDIUSやHDWSは、安定性、コストパフォーマンスなど、すべての面でノンリニアの中では一番だと思っています。しかし、もっともっと普及してもらいたい。民放さんなどにはEDIUSを搭載したターンキーシステムが多数導入されているそうですが、例えば、中小の制作会社さんなどにちょっとした作業をお願いしたいときなど、そこにはEDIUSが入っていないことがあるのですね。制作会社やスタジオ側にも色々と事情はあるのでしょうが、老舗メーカー・老舗ブランド信仰みたいなものが邪魔をして、EDIUSを正当に評価していないように思えてなりません。EDIUSやHDWSという非常に優秀なシステムがあるのに、それを知らない、試したこともない、ということは残念ですね。

− EDIUSをよく知らない業者さんが提案したシステム構成になってしまう例も少なくないようです。

EDIUSで納品前の最終編集中
河氏:韓国にはうちのような会社がたくさんあるのですが、効率的な編集システムを真剣に検討して導入しているところは少数です。ほとんど業者さん任せですね。
そこで、「うちではトムソン・カノープスを使っていて、こういう事ができるのだよ」というと、非常に驚かれるわけです。うちとしましては、トムソン・カノープス製品にノンリニアの業界スタンダードになってもらって、どこに行ってもEDIUSが動いているという環境になって欲しいです。特にSSTとの連携となると、ソフトウェアはEDIUS、ハードウェアはHDWSというのがベストマッチングですから。

− 最後に、カンバス様、コリア・エンターテインメント様のそれぞれのお立場から、SSTとHDWSという組み合わせに対する率直な評価や、これから入れようという方々へ向けてのメッセージなどをお聞かせください。

前川氏:迷われたときには、トムソン・カノープスの製品を導入すれば問題なしです。巷では定評のあるシステムでも、専用のエンジニアなどのプラスαの経費が別途必要だったり、操作が難解で使いこなせないという例もあります。それが、トムソン・カノープスの製品であれば、専用エンジニアなどは不要で、すぐに使いこなすことができるようになります。また、安定性も抜群なので自信を持ってお薦めできます。これは、おだてているとかいうことではなくて、本当にそう思うのですよ。
河氏:カンバスさんでは、リニア編集環境で使用するSST専用のキーヤーを売っているのですよ。でも、それで出来ることが全部、HDWS-1100でできてしまう。しかも専用キーヤーよりも安くて、字幕挿入以外のこともできてしまう。このトムソン・カノープスのコストパフォーマンスは、HDカムのデッキが余分に1〜2台買えてしまうくらいですから、ありがたいことです。字幕制作との連動では、完全にライバル不在だと思います。もう、他ではこうしたシステムはできないですよね。
前川氏:カンバスとしては、HDWSの存在はデメリットとは感じていません。SSTに関して、HDWSがあることで、出口となるソリューションを安価で提供できるようになり、ユーザーが入ってくる敷居が下がるわけですから。
河氏:うちは本当に、カンバスさんとトムソン・カノープスには、感謝しています。

株式会社コリア・エンターテインメント
http://www.koretame.com/
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-10-6 清園ビル6F
03-5421-7177

2000年設立。日本で最初に韓国ドラマを輸入し地上波キー局様に提供したベンチャー企業で、韓流ブームの火付け役として知られています。現在では、テレビ番組の配給ばかりでなく、DVDの発売や通信販売など幅広い業務をこなし、エンターテインメントによる日韓の架け橋の役割を担っています。

 
 
株式会社カンバス
http://www.canvass-net.com/
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-16-3 ICM中央ビル3F
03-3537-0787

経営コンサルティングとソフトウェア開発を主業務として1997年に設立。1999年より「SST」の提供を開始し、字幕データ作成ソフトウェアとしては他の追従を許さない定番中の定番にまで成長させてきました。現在では字幕制作を通じての障害者の方へのサポート事業なども展開しています。