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【市直営のケーブルテレビ局を開設】 自治体がケーブルテレビ局を開設し、情報発信を行う例は増えていますが、杵築市が直営する「杵築ど〜んとテレビ」様は、どのような経緯で設立されたのでしょうか。 − 「杵築ど〜んとテレビ」を開局された経緯を教えてください。
− 現在作られている自主制作番組は、どのような内容なのでしょうか? 板尾氏:レギュラーの自主番組は1本です。30分の「ど〜んとチャンネル」です。月曜日と木曜日の週2回更新しています。市内で起こったトピックスを中心に、市からのインフォメーションやクローズアップしたい情報を取り上げて市民の方々にお届けしています。 − ケーブルテレビの開局後、杵築市では統合という大きな出来事があったと思うのですが。 板尾氏:うちは旧杵築市で誕生したのですが、誕生から1年半後の2005年に市の統合があり、2006年からは新しいエリアでもケーブルテレビが見られるようになりました。統合によってエリアが広くなり、お互いの地域を知ってもらうためにも、より幅広い取材を心がけています。テレビは目で見てすぐに理解していただけますので、新しい市の一体感を醸し出す手助けにもなっていると思います。
【テープレスシステムによる作業効率の向上、時間短縮の実現】 杵築ど〜んとテレビ様では、収録から送出、アーカイブまでをテープレスで行える先進のシステムを導入されました。新システムによって生み出されたメリットについて伺ってみました。 − テープレスの新システムですが、どのような機材やワークフローを組まれているのですか? 板尾氏:まず、カメラは、ソニーさんのHVR-V1Jにハードディスクユニットを付けてデジタル収録をしています。取材の時点からテープレスです。 − 撮影してきた素材は、その後、どうなるのですか?
板尾氏:ハードディスクに記録された映像ファイルをそのまま、K2 EDIUS Shareのストレージに取り込み、収録と同時に、3台のREXCEED-M500VとREXCEED-M5000による編集作業を行います。編集済みの完パケはファイルで送出サーバーのK2 Media Clientへ送られるという流れです。 − アーカイブの部分はどうなっていますか? 板尾氏:完パケは、XDCAMで保存です。撮影素材はBlu-ray Discにファイルのまま保存して、いつでも使えるようにしています。EDIUSには「XDCAMオプション」が付いていて、ファイル転送ができ非常に便利です。 − テープレスのよさというのは、実感として、どのあたりに感じられますか? 真砂氏:テープは立ち上げの時間を考えねばなりません。対して、テープレスであれば、リアルタイムで素材の登録が可能で、収録が終わった時点ですぐに編集に入れるわけです。テープレスは尺が長くなればなるほど有利なシステムですね。 − ネットワークで映像情報が共有できる点については、いかがですか? 真砂氏:共有のメリットは、たくさんありますよ。「おおいた国体」が終わったばかりなのですが、競技の撮影素材を持ち帰って編集する場合、同じ素材への同時アクセスは便利でした。分業による編集の場合、テープでは1つの作業が終わるまで待たなければならないのですけど、3台のREXCEED-M500Vで同時に粗編集を行い、そのあとに、REXCEED-M5000で完パケを作り上げていました。非常に効率的な編集ができました。 − REXCEED搭載の編集ソフトEDIUSを使ってのハイビジョンの編集については、いかがですか?
板尾氏:撮りがハイビジョンなので、そのままハイビジョンで出すことを考えていましたが、その際にネックになるのが編集作業だと思っていました。少しでもストレスのない快適な編集のためにEDIUS搭載のREXCEEDを端末編集機として導入しました。
【テープレス・システムのほぼ全てをトムソン・カノープスで統一】 収録から編集、送出、アーカイブまでのすべてをテープレスで行うシステムは、今後主流になってくるとは思いますが、実際にこのシステムに踏み切られるところはまだ少ないのが現状です。杵築ど〜んとテレビ様では如何だったのでしょうか? − テープレスシステム採用の動機や導入前の悩みなどを教えてください。 板尾氏:デジタル時代なのに、いちいちテープに戻す作業は必要なのだろうか?という疑問は持っていました。また、テープの保管や管理、テープ代も考えねばなりません。テープレス・システムへ切り替えによる作業効率の向上や時間、無駄な経費の節減を考える時期が来ていたことも事実です。 − 番組制作の形態を変えずにテープレスが可能ということになり、その後の機材選択はどうでしたか?
板尾氏:テープレス・システムのコアとも言うべき、ストレージと送出サーバーは、実績や安定性を考え、最初から、K2シリーズの導入を考えていました。送出はK2 Media Client、ストレージはK2 EDIUS Shareですね。つまり、この2つをベースに逆算する形でシステム構成をを決めていったわけです。その場合、機器の相性問題などを気にせずに運用したいので可能な限り同一メーカーで機材を統一したいと考えていました。 − 今、話に出た、送出サーバーのK2 Media Clientはいかがですか? 板尾氏:裏方としてがんばっていますよ。黒子に徹して安定して動いています。コメントのしようが無いくらい安定しています。 − テープレス導入の決め手となったHDSS-P1000は、どのあたりにメリットを感じられたのでしょう?
真砂氏:テープの場合、サブ出しのために人間が1人必要になります。うちでは1人で何役もこなさなないとなりませんから、収録を止めずに送出をしながらスイッチングをして、というケースにHDSS-P1000のポン出しは、すごく強い武器になったのです。テープレスによるファイルベースのシステムだからこそ実現できた部分ですね。 − K2 EDIUS ShareとK2 Media Clientを中核とした新しいシステムは、実際に利用してみて、いかがですか? 板尾氏:特筆すべきは安定稼働です。また、ハイビジョンですと、データ量が非常に大きいので、ローカルでは保管や管理に気を使いますが、データが一箇所にまとまっているので管理は非常に楽です。後日不要ファイルを消す場合も、消してよいのかどうかが一目瞭然でスムーズな運用ができています。
【光ファイバー網を利用した生中継システム】 テープレス・ネットワーク化の新システムとは別に、杵築ど〜んとテレビ様では、自前の光ファイバー網を利用した、生中継番組も放送しています。こちらのシステムについても伺ってみました。 − 杵築ど〜んとテレビ様では、生中継の番組も放送されているとのことですが、どういった番組がありますか? 板尾氏:地域内の大きなイベントの生中継は重要です。8月の杵築花火大会の生中継などがそれで、会場まで行けない方に好評です。また、以前お祭りの生中継をしたのですが、その生中継を見て、実際にお祭りに出かけた方も多く、例年にない賑わいだったそうです。イベントの生中継は非常に効果があるなと感じました。 − 生中継の際のネットワークはどのようになっているのですか? 板尾氏:生中継用ネットワークは光ファイバーです。私どもは自治体ですから、光ファイバー網を自前で持っています。そのインフラを使って大容量の映像データを送ることを考えました。 − 生中継では、HD映像も扱われているのですか?
板尾氏:新システムへの移行に伴い、生中継システムのHD化も視野に入れていましたが、コスト面などの問題から「SD/アナログ」でしかできないだろうと思っていました。その時に、トムソン・カノープスから、ネットワーク経由でHD中継が行えるHDCS-3000SRという機材を提案していただき、自前の光ファイバー網とHDCS-3000SRを組み合わせてみると、コスト的にも画質的にも十分満足できるHD対応のネットワーク中継システムが構築できたわけです。おかげで、光ファイバー網を最大限に活用したネットワーク中継システムができあがりました。
【皆さんに参加していただける番組作りを目指す】 先進のテープレスシステムを導入された杵築ど〜んとテレビ様に、新システムを使われてみてのご感想や今後の展望について伺ってみました。 − これだけのシステムを構築されてみて、トータルなご感想はいかがですか? 板尾氏:大規模なシステムですが、当初の予算よりもだいぶ抑えることができました。コストパフォーマンスが非常に優れているシステムを構築できたと自負しています。テープレス・システムは大分県では初の試みのため、当初は不安もあったのですが、作業を進めていくにつれ不安も解消され、理想が形になった、と感じています。 − 技術面などについて、トムソン・カノープスへの要望などはありますか? 真砂氏: SDとHDではファイル容量が全然違いますので、ファイル転送がさらにスピィディーになって欲しいです。 − 最後に、局としての今後の展開や目標などについて、お聞かせください。 板尾氏:私どもは地域密着の局ですから、地域の皆さんがもっと楽しんでいただける、もっと満足していただける番組を増やしていきたいです。さらにもう一歩踏み込んで、皆さんと一緒に番組を作っていきましょうという取り組みも考えています。ローカルであるがゆえの点をメリットに変えて、うちの番組作りに役立てていきたいです。今回の新システムは私どもの目標を強力にバックアップしてくれると思います。
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