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概要 画質比較 新機能とワークフロー


HD市場背景と弊社の取り組み

デジタル放送への移行、コンテンツの再利用のビジネスモデルの確立などにより、コンテンツのHD化が急速に進行しています。それに伴い、コストパフォーマンスの優れたHD対応ノンリニア編集システムの需要が高まっています。
SDからHDへのスムーズな移行を実現するソリューションとして弊社では、世界で初めてDVやHDVなどの「HDとSDのリアルタイム混在マルチフォーマット」に対応し、更に次世代メディアとして注目されているP2 MXF/XDCAM MXFファイルを同一タイムライン上で編集可能にしました。
それを実現したのが「Grass Valley HQ Codec」という独自開発のソフトウェアコーデックです。
このコーデックで実現している、非常に高度な圧縮技術によるデータファイルの軽量化は、リアルタイムでの編集性能向上はもちろん、システムコストの低価格化、ネットワーク構築の柔軟な発展にも寄与し、お客様の求めるワークフローに最適なソリューションをご提供します。


圧縮の利点

映像のクオリティを完全に維持するには「非圧縮データ」を用いる必要があります。しかし「非圧縮データ」であればデータ量が非常に大きくなり、最新の高性能ワークステーションを使用したシステムでも、動作が重く、快適とは言い難い状態です。リアルタイム編集には不向きで、レンダリングが必要になります。
また、非圧縮データを扱うためには、膨大な容量の記憶領域を必要とします。必然的に高速・大容量のハードディスクの複数台導入やRAIDシステムの構築などが必要になります。お客様の編集環境への投資全体を考えた場合、投資額が一挙に膨れ上がってしまいます。さらに、膨大なデータ量に起因する速度の問題はネットワーク化の実現にも支障をもたらします。
したがって、費用、速度などのあらゆる面において非圧縮データによるネットワーク・フローは現実的ではありません。


ソフトウェアコーデックの利点

圧縮にはハードウェアを用いて行うものと、ソフトウェアで行うものがあり、「Grass Valley HQ Codec」はソフトウェアコーデックです。当社がソフトウェアタイプを採用したのには、以下のような利点があるためです。

■柔軟で発展性のあるシステムを構築できる
ハードウェアに依存しないため、機能の拡張や追加が柔軟に行えます。ネットワークを利用した映像編集システムでは、これまで以上に様々なフォーマットへの対応が要求されますが、ソフトウェアコーデックなら新しいフォーマットへの迅速な対応が可能で、コンテンツ再利用のチャンスを活かすことができます。
■プラットフォームの進化に追従した拡張性
ソフトウェアコーデックならば、今後期待されるCPU処理能力の向上によって、より多くのストリームを同時に再生したり、トランジション・フィルタや合成などをリアルタイムで処理するなどの性能向上が可能です。弊社ではこれを「スケーラブル・テクノロジー」と呼んでいます。


Grass Valley HQ Codecの特長


Grass Valley HQ Codecは画像に応じてダイナミックに圧縮率を調整し、HDCAMやDVCPRO HD以上の高画質をを実現しています。
テープメディアのようにフォーマットでビットレートが固定される場合、非常に複雑な映像においてディテールの再現性を欠くことがあります。しかしGrass Valley HQ Codecで採用している「可変ビットレート」ではそのようなことはありません。また、データが大きくなり過ぎるのを防ぐために、最高ビットレートのリミットを設定できるようになっています。画質を保ちながらデータ量を削減できる可変ビットレート方式は、ノンリニア編集システムにとっては大きなメリットとなります。

■プリフィルタの役割
HDCAM、DVCPRO HDは、ともにテープメディアに記録する際にはプリフィルタにより水平方向の1920画素を1440(HDCAM)、1280(DVCPRO HD)に縮小しています。ノンリニア編集システムでも同様にプリフィルタをかけることが一般的ですが、それをハードウェアで行うかソフトウェアで行うかによって画質には大きな違いが生じます。
現在のCPU処理能力では理想的な特性のソフトウェア・プリフィルタをリアルタイムに適用することは不可能です。そのため他社の製品では特性を犠牲にして処理速度を上げることで対応しており、画質劣化の原因となっています。
HDWSシリーズは、HDデッキレベルの理想的な特性のプリフィルタをハードウェアで実現することで、高画質を維持しています。
■1920x1080対応
Grass Valley HQ Codecは、1920x1080のフルHD解像度にも対応しています。スタジオHD録画や、CGを多用するCM制作で使用されるHDCAM SRやHD D5デッキとのワークフローを想定して開発されました。
プリフィルタを通して、ダウンサンプリングすることなく直接圧縮を施すため、オリジナルの周波数特性をほぼ完全に維持したままリアルタイム編集が可能となります。
Grass Valley HQ Codecの基本技術と可変ビットレート方式により、効率の良い圧縮を実現しています。オリジナルの映像の約1/5サイズに圧縮することが可能です。
■アルファチャンネル対応
HDのコーデックとして世界で初めて8ビットのアルファチャンネルに対応しました。Adobe After Effectsや3Dソフトウェアで作成したCGなどをGrass Valley HQ Codecで保存することで、連番静止画でのデータ受け渡しと比較して、工数も時間も、ファイルサイズも大幅に削減することができます。アルファチャンネル対応の詳細はこちら
ビンウインドウ上でアルファ情報を付加したマットファイルを出力することも可能です。


HDデッキとGrass Valley HQ Codecの画質と容量


画質を左右するプリフィルタやビットレート値は、それぞれ以下のようになります。


  HDV
720p
HDV
1080i
DVCPRO HD HDCAM Grass Valley
HQ
HD D5 HDCAM
SR
Grass Valley
HQ
(フルHD)
非圧縮HD
水平解像度 1280 1440 1280 1440 1440 1920 1920 1920 1920
垂直解像度 720 1080 1080 1080 1080 1080 1080 1080 1080
圧縮時輝度画素数 1280 1440 1280 1440 1440 1920 1920 1920 1920
圧縮時色差画素数 640 540 640 480 720 960 960 960 960
ビットレート 19Mbps 25Mbps 約100Mbps 約140Mbps 可変 235Mbps 440Mbps 可変 995Mbps
※オリジナルHDデータ YCbCr 4:2:2 8bit 30fpsの場合



※ HDCAMはソニー株式会社の登録商標です。
※ DVCPRO HDはパナソニック株式会社の商標です。
※ 本検証は当社が独自に行ったものです。全ての環境で同様の結果が得られることを保証するものではありません。