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AV、リモコン信号伝送システム
AVREx
離れたところのAV機器を、手元で操作できるようになる、ちょっと便利なグッズ。コンパクトで堅牢なボディは置く場所を選ばない。
DVDプレイヤーやビデオデッキなどのAV製品はもとより、ビデオカメラを接続してのモニタも可能など、使い道はアイデア次第で、いくらでもふくらみそう。
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「ういっす、いま大丈夫? 新製品ができたんで、次の朝倉コーナーは、それにしよう。」
私が別口の仕事で忙しいところへ、突然MSNメッセンジャーの通信が割り込んできた。こういう話し方をするのは、一人しかいない。言うまでもない、カノープスのN氏だ。
「ついさっき、できあがったばかりのホヤホヤでさ、けっこう斬新な製品なんだ。AVRExっていうんだけどね。離れたところのAV機器を、手元で操作できるんだ。製品は、さっき送ったから、超特急で書いてよ。」ときた。
どうやら、本当にできあがったばかりの製品ということで、神戸のカノープス本社と神戸三宮ビデオサロンにしか現物がないということらしい(しかも三宮にあるのは、プロトタイプとか)。カノープスの東京・日本橋にあるビデオサロンでも必要としているということで、私がレビューを書いたら、すぐさま日本橋ビデオサロンへ持ち込んでほしいということだった。
つまり、神戸から神奈川県の私を経由して、日本橋ビデオサロンまで運ばれるというわけだ。まあ、日本橋ならバイクですっ飛ばせば1時間もあれば着くので、特に面倒ともいえない。また、カノープスの新製品を市場に出回る前にさわれるというのも嬉しいので、二つ返事で承諾した。
その翌日、届いた箱を開封すると、想像していたよりずっとコンパクトな「AVREx」("エー・ブイ・レックス"と読む)の本体が現れた。では、ここで「AVREx」とはどんなものかを説明しておこう。
簡単にいうと、親機と子機からなる「AVREx」は、親機と接続したAV機器を、離れたところに置いた子機から操作する事ができるという製品(正式には"AV信号伝送システム:Audio
Visiul Remote Extender"というらしい)。操作には、親機に接続したAV機器のリモコンを使う。
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タバコの箱と比べると、いかにコンパクトな造りかが良く分かる |
例えば、親機を一階の居間に置いてあるDVDプレイヤーなどのAV機器に接続し、子機を二階の部屋のテレビに接続する。そうすると、DVDプレイヤーのリモコンを使って、二階のテレビに接続した子機を通して一階のDVDプレイヤーの操作を行えるというわけだ。
テレビが各部屋にあるのは、いまや一般的になったようだが、さすがにAV機器まで各部屋ごとに置いてある人はそうそういないだろうから、なかなか重宝しそうな製品だ。
親機、子機共にタバコの箱を少し大きくしたくらいのコンパクトなサイズで、小さい割にはずっしりとした重量感がある。それもそのはずで、筐体がスチール製となっているからだ。プラスチックで作ればもっと軽く、コストも抑えられたと思うが、あえてスチール製の、がっしりとした筐体にしたあたりに、カノープスならではのこだわりを感じる。
ちょっと驚いたのは、親機と子機の接続が有線であったことだ。接続には、LANなどに使用するCAT5(またはCAT6)のストレートケーブルを使用する。
薄型のケーブルを使用すれば、家の中の扉くらいなら問題なく通せるだろう。実際、私も自宅の一階と二階の扉の下を、薄型CAT5のケーブルを使って這わせてみたが、問題なく扉の開閉ができた(太いケーブルだと、ちょっと無理だろうが)。
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今回接続に使用した、薄型のLANケーブル。これならドアの下を通せる |
ところで、我が家には以前にこのコーナーの「こちら」でレビューした、パソコンファイルプレイヤー「Multi
R DVD」がまだあるのだ。本当はレビューが終わった時点で返却しなければいけないのだが、DVDプレイヤーとして重宝している事もあり、返却を一日延ばし、二日延ばしとしていた。それが思わぬところで役に立ってくれることとなった(こうなったら、これを口実にして、もっと借りていようと考えたのは内緒だ)。
さて、さっそく一階の居間に「Multi R DVD」を運び、「AVREx」の親機を接続。ケーブルを二階に引っ張り、自室のテレビに接続した子機に繋いだ(ちなみに接続にはS端子を使用したが、コンポジット端子も付いている)。ちょっとどきどきしながら、子機に向けて「Multi
R DVD」のリモコンを操作すると、二階のテレビに、一階の「Multi R DVD」に入れたDVDが表示された。
早送りやチャプター操作などをしてみるが、とても一階と二階とに離れているとは思えない、ごく普通のリモコン操作ができ、操作のタイムラグもまったく感じられない。
肝心の画質と音質だが、私が見たところまったく劣化しているようには見えない。念のためカノープスのN氏に聞いてみたところ、"画質の劣化は、ほとんど検出不可能なレベル。音声もSN比で90db以上は確保している"ということだった。これなら画質にうるさい方でも納得いくのではないだろうか。
なるほどねえ、などと感心しながら、リモコン操作をして遊んでいたのだが、どうにも頭から離れない疑問は、「なぜ有線なのか?」だ。これを無線にすればもっと便利だろうにと思い、N氏に聞いてみると、どうやら映像品質の問題があったらしい。
無線にすると、例えば最近流行のPC用の無線LANによる干渉や、家の間取りや構造上の理由による影響、屋外の交通事情による影響(FMラジオ放送に、トラックなどの違法無線が入ってきたりするが、こんなのも影響するらしい)などの周辺環境からの影響で、映像の劣化や音声に雑音が混じるなどといったことが避けられないため、あえて有線にしたという。
たしかに、いくら無線の方が便利とはいえ、せっかくの美しいDVD映像のクオリティが下がってしまっては、意味がない。やはり、これは有線で正解だったのだろう。映像にこだわりをもつ、カノープスらしい決定といえる。
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Multi R DVDと共に、一階にセットしたAVREx親機。 |
今回は、一階にあるDVDプレイヤーを二階の自分の部屋で楽しむという、「AVREx」の最も基本的な使い方を試してみたが、他にも衛星放送やケーブルテレビのように、チューナーが居間にしかないという場合にも威力を発揮してくれるだろう。
いよいよ近づいてきたアテネ・オリンピックのために購入したという人も多そうな、HDDレコーダーの接続にも対応しているという。
また、ビデオカメラを接続しても面白い。他の場所に設置したビデオカメラの映像を、別の部屋のテレビでモニタしたり、さらにはビデオデッキに接続すれば録画もできる。価格の下がったWEBカメラを使えば、安価なセキュリティシステムの構築もできそうだ。
アイデア次第で、いろいろな使い方ができそうな「AVREx」で、ぜひ自分なりの使い方を模索してもらいたい。
なお「AVREx」は、カノープスの通販コーナー「カノープス
ダイレクトショップ」で販売されるということなので、ぜひ「こちら」の通販コーナーをチェックしてみよう。
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