Canopusからの提案 Canopus



安定したシステムでなければ、安心して楽めるアトラクションにはならないのです

もの作りのシーンにおいて、実際に現場に携わる人たち、いわゆるスタッフの方たちの名前が表に出てくることは、まずないと言ってよいでしょう。株式会社ジーベックス様はまさにそのようなスタッフ的な企業ですが、シアター系の映写・音響設備を中心に、様々な分野でのシステム設計・開発・構築を手がけ、枚挙にいとまがないほどに多数の実績を持つ、いわば「安心して任せられる縁の下の力持ち」として知られています。その業界内でも屈指の頼れるプロフェッショナル企業が今回、富士急ハイランドの新アトラクション「ガンダム クライシス」用の機材として、富士急行様に自信を持ってお薦めしたのが、MEDIAEDGEでした。

ジーベックス様では、今回のアトラクションについて、富士急行様から話があるとすぐに、MEDIAEDGEの導入を勧められたそうです。その理由は、どういったところにあったのでしょうか。

Q:MEDIAEDGEは、以前に使われたことがあったのですか?

石川氏:石川氏:MEDIAEDGEを最初に使ったのは、うちが施工を手がけたシネアドシステムの案件でのことでした。それによりMEDIAEDGEとはどういうものかも十分に理解していたため、今回の富士急行様への提案は最初からMEDIAEDGEで行こうと考えていました。

営業部 部長 石川隆一氏 システム設計部
システム設計グループ
グループリーダー 河原常久氏

Q:今回の富士急ハイランドの「ガンダム クライシス」という案件は、どういったお話だったのですか?
石川氏:会場内のあちこちに、たくさんの映像再生機器が設置され、映像と時間指定のゲームを融合したニュータイプのアトラクションという企画です。富士急行さんでは当初、各所に個別に再生用機器を設置していくシステムを想定されていたようです。しかし、そのプランでは、仕様や機能、コストなどの問題があったようで、そこで映像部分を新たに提案して欲しい、というオーダーがうちに寄せられたわけです。
河原氏:スケジュール的には、最初にお話を伺ったのは07年の3月で、正式オープンが同年の7月でしたので、スケジュール的には非常にタイトでしたね。

Q:富士急行様から大筋のプランをいただいた段階ですぐに、MEDIAEDGEをご提案いただいたと聞きました。
石川氏:その通りです。富士急行様に対しては、うちからMEDIAEDGEの導入をお勧めしました。MEDIAEDGEの持つ機能や仕様を既に私達は十分に理解していましたので、今回の「ガンダム クライシス」にはMEDIAEDGEを使ってシステムを構築するしかないと考えました。

Q:MEDIAEDGEの導入を勧められた理由は、どういったことからだったのですか?
石川氏:まずは、機器自体の堅牢性ですね。MEDIAEDGEには駆動系が無いため故障も少ないだろう、と。その実績は、以前にご一緒したシネアドの案件で、私たちも経験済み、実証済みでしたので、富士急行様には自信を持ってお薦めしました。何しろ、アトラクション用システムでは、壊れないことが非常に重要ですから。

Q:MEDIAEDGEの機能面では、いかがですか?
石川氏:映像ファイルの保存がバックヤードの1ヶ所に集約できる点が、一番のメリットでした。「ガンダム クライシス」では、コンテンツの入れ替えが頻繁に発生することが予測されました。ローカルに散在する再生機器システムの場合、コンテンツ入れ替えの際に、全ての再生機器まで足を運び、1台1台にコンテンツを流し込まねばならず、想像以上の労力と手間、時間が必要で効率的なシステムとは言えないわけです。
ですから、お話をいただいた初期の段階から、このような手間を必要としないMEDIAEDGEを核とする新映像再生システムを富士急行様にご提案したわけです。

Q:運用面での扱いやすさ、というのがトッププライオリティだったわけですね。

石川氏:富士急ハイランドさんのガンダム・アトラクションを扱わせていただくのは、2回目なのですが、1回目の時も、オープン前日までコンテンツの入れ替え作業をやっていました。アニメーターの方は画作りに強い拘りをお持ちですから、時間が許す限り、何度も作り直すわけですよ。
河原氏:最後の最後までコンテンツが決まらない状況になるであろうことは十分に予測できました。試してみてちょっとでも不満が有れば、すぐに修正、また修正、ということで、コンテンツの差し替えが相当ぎりぎりまで行われるだろう、と。
石川氏:今回のシステムでは、MEDIAEDGE経由での映像端末が23ヶ所、それにプラスして、3台のHDMA-4000Syncなどトータルで30ヶ所近い映像端末が各所に設置されていますので、コンテンツの入れ替えは大変です。それを考えますと、MEDIAEDGEによるコンテンツの一元管理がもっとも利便性が高いであろうことは、最初から想定できました。そういう意味では、MEDIAEDGEの一番のウリの部分が生きてきたと思います。


上部のプラズマに映し出される映像も
MEDIAEDGEで表示されている。



独自に設計されたコントローラにも柔軟に対応

ジーベックス様の開発セクションでは、以前のシネアド案件でMEDIAEDGEを使ったことから、今では、MEDIAEDGEの性能を十二分に理解し、カスタマイズなどを自在にこなしています。今回の富士急のアトラクション「ガンダム クライシス」では、どういった工夫が施されたのでしょうか。

Q:システム構成がどのようになっているのか、もう少し詳しく教えていただけますか?

石川氏:「ガンダム クライシス」の来場者は、ディバイダーという携帯端末を持ち歩き、それをチェックポイントに当てると、それに沿った映像が流れ、リアルなガンダム・ワールドが体験できるわけです。
河原氏:小さなモニターの裏には、それぞれにMEDIAEDGE-STB(セットトップボックス)があり、そこまではLANでつながっています。大型モニターでは、サーバールーム内にMEDIAEDGE-STBを用意して、そこから線を引っ張っている形になっています。

Q:機器のコントロールは、サーバールームからですよね?
河原氏:そうです。もともとシネアドのコントローラー用として使っていたものを、今回、ガンダム用として、ジーベックス・オリジナルで作り上げました。コンテンツの入れ替えや機器のコントロールの一元管理がMEDIAEDGEでは可能なわけです。


お客様が持ち歩く携帯端末。

Q:そのオリジナルのコントローラーでは、どのような設計がされているのですか?
河原氏:今回のアトラクションは、時間軸の中で展開していき、大別して2つのステージが二重になっています。2チームが同時進行で、1をやり終えた人が2に行っている間に、新しい人たちが1に入ってくる、といった進行ができるようなアトラクションになっています。万が一トラブルが起きた場合、一方だけは止めても、もう片方はそのまま動かし続けなくてはいけないといったことが想定された設計になっています。
石川氏:端末の数を変えたいとか、ある期間だけ別な映像を流したい、といった要望など、後日発生するであろう事態も想定してスクリプトを組んでいます。そういう意味でいえば、MEDIAEDGEを核とする今回のシステムは、このようなリクエストに対し柔軟に対応できる点もありがたいですね。

 

壊れなくて安定しているシステムが求められている

アナログはもちろんデジタルにも精通しているジーベックス様は、シネマ以外の分野でも、多目的ホールや試写室など、さまざまなタイプの案件をこなしているプロフェッショナルです。映像・音響系システム構築に絶対の自信と実績を有するジーベックス様に、MEDIAEDGEをはじめとするカノープス・ビデオソリューション機器への率直な感想を聞いてみましょう。

Q:そのほか機材の仕様や性能で評価できる点はありますか?

河原氏:MEDIAEDGEはレスポンスがよいですね。今回のアトラクションはゲーム性が高いものですから、画がすぐに出てこないとお客様が違和感を感じることになってしまい、楽しめなくなってしまいます。
石川氏:今回、来場者が持ち歩いている端末からは無線信号が出ていて、それを非接触型のリーダーで読み取るのですが、信号をもらってすぐに画が出るというレスポンスが、MEDIAEDGEは非常によいのです。本当に、瞬時にピッと出ますね。
河原氏:MEDIAEDGEではないのですけど、HDMA-4000SyncとHDMA-4000もレスポンスがよいですね。まさにアトラクション会場向けの機材だと思います。


Q:ところで、HDMA-4000とHDMA-4000Syncは、どこで使われているのですか?
河原氏:今回のアトラクションでは、コックピットに入っている3面マルチモニターへの再生を3台のHDMA-4000Syncが担当し、あと、実物大ガンダムの足下に、150インチのプロジェクターを使ってハイビジョン映像を大きく映し出しているところがあるのですが、そこにはHDMA-4000が入っています。

Q:HDMA-4000とHDMA-4000Syncのレスポンスがよいというのは?
河原氏:今回のアトラクションには1stステージと2ndステージがありまして、それぞれが別個に進行しているのですが、来場者が持っている端末と、きっちり時間を合わせなくてはならないのです。HDMA-4000の映像には、制限時間へのカウントダウンの表示が出ていまして、また、手もとの端末にもカウントダウンの表示が出ているのですが、それらは別に、リンクさせて制御させているというわけではないのですが、あたかもピッタリ合っているかのように見せなくてはいけないということなのです。その点でも、カノープス製品は非常に応答性がよいので、ピッタリ合っているように見せられるわけです。
河原氏:あと、コックピット内でHDMA-4000Syncの3面マルチ映像を見ている最中に記念写真を撮ってあげる仕掛けがあるのです。3面マルチモニターに流される爆発シーンにぴったり合わせてフラッシュを焚いて写真を撮るのです。来場者にしてみると、映像が明るくなるシーンと完全に連動していますので、お客様はフラッシュに気づかないのです。

Q:それは面白いですね。ところで、正式運用後には、トラブルなどは発生していませんか?
石川氏:導入後、データベース部分の設計ミスで一度だけトラブルがありました。オープン当初ビックリするほどの人が入って、そのアクセスに対する処理方法を間違えていた、ことに起因するマイナートラブルでした。ですから、製品自体がトラブルを起こしたわけではありませんし、その後、トラブルは一度もありません。
河原氏:MEDIAEDGEはシネアドにも導入していますが、まったく問題はないです。他社製の機材を使っている場所では、トラブルが多くて修理代が大変だ、といった話を聞くこともあるのですが、MEDIAEDGEは本当に安定していますね。

Q:機器が安定して動いてくれることは大切ですね。
石川氏:アトラクションのように毎日稼働するシステムを組むときには、その設置後には極力、触らないですむようなものを作っていくのです。今回の「ガンダム クライシス」の現場でも、壊れなくて安定しているシステムを求められていたわけです。安定して不安なく使えるシステムであってはじめて、大人も子供も心から楽しめるアトラクションになるのです。うちが富士急行様にご提案したMEDIAEDGEをはじめとするシステムは、まさに理想的な機材だったというわけです。



遊園地のような場所で生み出される企画は、ある面、荒唐無稽なものかも知れません。そして、その荒唐無稽な企画を現実のものとしていくには、高度な技術、経験とノウハウ、細かな気配り、さらには、遊び心を持った柔軟性も必要になってきます。そこには、難しさもあり、やりがいもあります。今回のインタビューでは、日本が世界に誇るもの作りの姿勢、職人の技といったものが垣間見えました。




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株式会社ジーベックス
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ウシオ電機株式会社のグループ企業。主にシネコン、劇場の設備、映写・音響設備を手がける会社で、デジタル映像技術を利用したシステム構築にも積極的に取り組んでいる。今回のガンダム クライシスの案件では、カノープス機器の特性を最大限に発揮するためのコントローラー・システムをオリジナルに開発するなど、その高い技術力には定評がある。

 

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