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「EDIUS1号」・・・愛称の付いたEDIUSが映像編集の中核をなす

ハイクオリティかつハイセールスのDVDソフトを作るためには、企画から発売、プロモーション展開や営業活動まで、どの工程も欠かすことはできない。しかし、何といっても内容の善し悪しが決まるのは、「撮影」〜「MA」の工程だそうだ。

特に、撮影された膨大な時間の映像から、企画意図や構成に沿って最終的に1〜2時間の作品へと組み立てていく「オフライン編集」は、最重要工程の一つという。シンフォレストでは、この「オフライン編集」を「EDIUS Pro 3」がインストールされた社内のPCで行なっている。

EDIUSがインストールされた社内の4台のPCは、「EDIUS1号」から「EDIUS4号」という愛称で呼ばれているそうで、制作スタッフがどのマシンを使っても良いように、リムーバブルのハードディスクを活用している。

そのうちの2台は「DVStorm」を搭載し、最も使用頻度の高いマシンとなっている。1台は「Pentium D」のCPUとRAID0のハードディスクを装備し、今後のハイビジョン編集に備えるという。


DVD制作の標準的なワークフロー (クリックすると拡大します)


編集・制作工程とEDIUS

撮影は主にHDCAMやHDVなどに対応したハイビジョンカメラを使用。特に機動性やランニングコストなどに優れたHDVのカメラ(ソニーのHVR-Z1Jなど)を積極的に活用しているとのことだ。

しかし、原理的にハイビジョン解像度の映像を収録することができないDVDのために、何故、徹底してハイビジョンにこだわるのだろうか?
プロデューサーの工藤氏は以下の理由を挙げている。

● 近年のワイドテレビの普及による16:9画角へのニーズ
● HD DVDやBlu-rayなど今後のハイビジョン時代においても素材を活用するため
● BtoBでの映像ライブラリー事業におけるハイビジョン映像のニーズ

そして何よりも「風景と16:9画角の親和性」や「ファインダーを覗いた時のモチベーションの違い、つまりハイビジョンは確実にクリエイティビティを刺激する」と付け加える。

さらには、パッケージメディア特有の事情として、パッケージや広告販促物への「印刷」というニーズもある。
「従来の640×480ピクセルに比べ、静止画キャプチャした時のハイビジョンの解像度は優れているので、店頭のPOPやカタログなどの販促物にも活用しています」と広報担当者。

撮影現場では、常に同時にスチル撮影ができるという訳ではないので、動画の映像を印刷にも使えることは非常にメリットが高いという。こんなところにもハイビジョンの有用性がある。

現在、撮影後の素材は、ダウンコンバート後、EDIUSでキャプチャ。そして、担当ディレクターさんが何度も粗編集を繰り返し、関係者との社内プレビューを経て微調整をしながら、最終的な構成、完成尺へと近付けていくそうだ。

EDIUS1号を用いての編集作業風景
編集作業中のEDIUS画面
(クリックすると拡大します)


オフラインが完成すると、そのEDLを書き出し、撮影マスターテープ群と共にポスプロへ。
撮影テープが少ない場合、事前にHDVテープはHDCAMテープに変換し、ハイビジョン対応のリニア編集室でEDLを元にテープ編集を行う。一方、撮影テープが何十本にも及ぶものは、ハイビジョン対応のノンリニア編集室に入り、EDLを元にHD画質で繋ぎ直し、最終的にはHDCAMに書き出す。

ただし、ハイビジョン対応のノンリニア編集室はまだまだ発展途上のものが多く、コストパフォーマンスも悪いため、映像を繋ぐところまでをノンリニアで行い、それを書き出したHDCAMを持ってリニア編集室に入ってテロップ入れだけを行ったり、本編はリニアで制作しオープニングだけノンリニアで制作するなど、試行錯誤の繰り返しだという。


ハイビジョン編集の今後

「なぜEDIUSでハイビジョン編集をし、EDIUSだけで完結させないのか?」

そんな素朴な疑問を問うと、「将来的にはそうしたいし、それが理想的な環境だと考えているが、もう少しパソコンや周辺機器の進化やコスト動向を見守ってから判断したい」という。

EDIUSのハイビジョン対応によってソフト自体の敷居は低くなっても、仕上の段階まで行うとなると、マスモニもきちんとしたものを導入したり、トラブルが発生しても発売日に影響を与えないために余裕あるハードディスクの環境やバックアップの体制も重要となる。

また、カラコレや効率的な編集スキルなど、ディレクターではなく、エディターとしてのスキルや人材も必要になる。ダウンコンバートして行なったオフラインでは気付かなかったような問題が、ハイビジョン編集で見つかり、急遽手直しすることも多いそうだ。

こうした総合的な判断から、オフラインと本編集の一体化は、慎重に判断しているようだ。しかし、「EDIUSですべて完パケてしまえる環境には非常に魅力がある」ということで、今後は「VELXUS」や「REXCEED」を導入したスタジオや企業との連携強化を予定しているという。


次章:EDIUSを語り尽くす


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